北原白秋

北原白秋
詩人、童謡作家、歌人。1885年1月25日、福岡県の柳河(現在の柳川)に生まれる。 1904年に上京。「明星」「スバル」などに短歌、詩を発表。1918年より鈴木三重吉の「赤い鳥」の童謡面を担当し、以後、日本の創作童謡に新分野を開拓した。代表作に「雲母集」(歌集)、「からたちの花」(童謡集)など。1942年11月2日没。

 盲ひし沼

午後六時(ごごろくじ)、血紅色(けつこうしよく)の日の光
盲(めし)ひし沼にふりそそぎ、濁(にごり)の水の
声もなく傷(きずつ)き眩(くら)む生(なま)おびえ。
鉄(てつ)の匂(にほひ)のひと冷(ひや)み沁(し)みは入れども、
影うつす煙草(たばこ)工場(こうば)の煉瓦壁(れんぐわかべ)。
眼(め)も痛(いた)ましき香(か)のけぶり、機械(きかい)とどろく。